#ジャンル:SF
#トーン:感動的
#登場人物:少年
翔太は夜空を見るのが好きだった。田舎町の広い空には、街の喧騒を忘れるような無数の星が瞬いていた。特に彼が楽しみにしていたのは、毎年夏に見られる流星群だった。今年も観測に出かけた翔太は、不意に強烈な光を目にする。空を切り裂くように降ってきたその光は、近くの森の奥へと消えた。
「何だ……今の?」
翔太は星への好奇心に駆られ、その光の落ちた場所を探しに森へと向かった。そこで彼が見つけたのは、直径1メートルほどの発光体だった。それは透明な膜の中で、幾何学模様が絶えず動いている奇妙な球体だった。近づくと、球体から柔らかな声が響いた。
「私の名はルーミエ。星々を守る者です。」
翔太は驚きながらも、話を聞いた。ルーミエは、星々が宇宙を巡るためのバランスを守る存在だった。しかし、何者かが星々のエネルギーを歪めており、この地球もその影響を受け始めているという。
「翔太、君の助けが必要です。星のエネルギーを繋ぐ『鍵』を探し、宇宙を再び安定させてほしい。」
翔太が半信半疑で首をかしげると、ルーミエは翔太の胸に光の結晶を埋め込んだ。すると、翔太はまるで星空そのものが心に流れ込むような感覚を覚えた。「鍵」は翔太自身の中に宿り、その力で歪みを修復できるという。
それから翔太の生活は一変した。夜ごとにルーミエからの指示を受け、星のエネルギーを調整する冒険が始まった。時には崩壊しかけた星を救い、時には別の生命体と交渉する。その中で翔太は、星空がただ美しいだけでなく、無数の命の営みを支えているのだと知る。
しかし、翔太には疑問があった。「どうして僕なんだ?」とルーミエに尋ねると、彼は静かに答えた。
「君は特別な力を持つわけではない。ただ、君のように純粋に星を愛する者こそ、星々を守る使命に相応しい。」
やがて、翔太は地球を揺るがす最終的な歪みの源に向かうこととなった。それは、太陽系の中心に存在する巨大なブラックホールだった。その戦いは壮絶を極めたが、翔太は最後の力を振り絞り、ルーミエの力と共にブラックホールの歪みを修復することに成功した。
冒険が終わった後、翔太はルーミエと別れる時が来た。「君のおかげで、星々は再び輝けるようになった」と感謝の言葉を残し、ルーミエは星の彼方へと消えていった。
その夜、翔太はいつものように夜空を見上げた。星々は以前よりも明るく、そして美しく輝いているように見えた。彼は微笑みながら、そっと胸に手を当てた。そこには、星と星を繋いだ証が今も刻まれている。