星に願うレジスタンス

SF

#ジャンル:SF
#トーン:冒険
#登場人物:技術者

銀河帝国の圧政は、惑星連合の希望を押し潰し続けていた。自由を求める者たちが声を上げれば、容赦ない弾圧が降りかかる。だが、その中でわずかな灯火を守り続ける者たちがいた。レジスタンス組織「星の灯」——彼らは帝国に抗い、自由のために戦っていた。

エリオはその一員だった。かつて帝国の技術開発部門で働いていたが、その非道な実験を目の当たりにし、脱走。今はレジスタンスの技術者として戦艦や武器の修理を担当している。だが、今の彼に課せられた使命は戦場の裏方仕事ではなかった。

「……これが、天涙の結晶」

少女ティアは両手でそっと青白く輝く結晶を包み込んだ。小さな手のひらの中で、宇宙そのものを閉じ込めたかのような神秘的な輝きが広がる。

「本当に……こんなものが伝説の力を持っているの?」

「確かめるしかない。帝国が血眼で探している以上、何かしらの秘密があるはずだ」

エリオはそう言いながら、薄暗い洞窟の奥を見渡した。ここは惑星ルミナの地下深く、古代文明の遺跡とされる場所。星の灯の情報網がつかんだ情報によれば、天涙の結晶はこの場所で封印されていた。だが、すでに帝国の追手が迫っている。

「エリオ……怖い」

「大丈夫だ、ティア。俺が必ず守る」

そう言った直後、洞窟内に響く振動。崩れる壁、舞い上がる粉塵——帝国兵の強襲だった。

「いたぞ! 天涙の結晶は確保する!」

装甲をまとった兵士たちがライフルを構え、エリオとティアを囲む。逃げ場はない——そう見えた。

「ごめんね、エリオ。私、知っていたの」

ティアが静かに呟いた。

「え……?」

次の瞬間、天涙の結晶が眩い光を放つ。まるで銀河そのものが広がるような光景が洞窟内を包み込み、帝国兵たちの動きが止まった。

「これは……!」

重力が反転するかのような感覚。エリオは息をのんだ。

「天涙の結晶は、ただの秘宝じゃないの」

ティアの瞳に、星の光が映る。

「これは、宇宙そのものの記憶。無限の可能性を秘めた力。でも、使うには代償がいるの」

帝国兵たちは驚愕しながらも銃を構え直そうとした。だが、その前に——ティアは静かに微笑みながら、結晶に手を重ねた。

「だから、私が選ぶよ」

爆発的な光が広がり、洞窟が崩壊していく。その中で、エリオはただ一人、意識を失った。

——目覚めたとき、彼は宇宙船の中にいた。

ティアの姿はなかった。

「ティア……?」

エリオの手の中には、かすかに光を宿す天涙の結晶のかけらが残されていた。

「そうか……君が、代償を……」

宇宙の果てへと広がる星々の海を見つめながら、エリオは静かに誓った。

——帝国を倒す。そして、ティアが見せてくれた「可能性」を、必ずこの手で実現する。