#ジャンル：SF
#トーン：感動的
#登場人物：旅人
辺境の惑星アステリアにある宿「星の小屋」は、レナの大切な居場所だった。彼女は家族を失い、この小屋を一人で切り盛りしていた。ある日、流星群が降る夜に、風変わりな旅人エルクが現れる。
「ここに泊まらせてもらいたい。」
「もちろん。でも……随分変わった装置を持ってるのね。」
エルクの背中に光を吸収する装置が光っている。それは「星の光」を集めるためのもので、彼の存在はこの宿とレナの生活を一変させた。
エルクは理由を話そうとしなかったが、彼の目には深い悲しみが宿っていた。それを見たレナは彼に手を差し伸べる。「何か私に手伝えることはない？」
エルクは少し戸惑いながらも、星の光を集める旅に彼女を誘う。「本当に危険だけど……君の助けが必要なんだ。」
二人は惑星の空を旅する中で、無数の星が抱える秘密を知る。星は、宇宙の意志によって生まれ、記憶を蓄える器だった。エルクの目的は、彼が失った大切な人との記憶を再生すること。だが、それには膨大な星の光が必要だった。
レナは彼の孤独に共感し、協力を続けた。二人は様々な星の光を求めて旅を重ねる中で、互いの距離も縮まっていった。エルクが語る故郷の話や、家族との思い出に触れるたび、レナは自分が忘れかけていた大切なものを思い出していった。星々が織りなす光の物語は、彼女の心にも灯をともしていた。
そして最後の光を集めるため、流星群が訪れる夜、二人は一緒に装置を稼働させた。その瞬間、彼の過去が星空に映し出される。そこには幸せそうに微笑む彼と家族の姿があった。それはまるで星たちが祝福を与えるような光景だった。
「ありがとう、レナ。これで前に進める。」
エルクは装置を残し、再び流れ星のように去っていった。レナは彼がいなくなった空を見上げながら、胸に刻んだ。「星は忘れない。私も忘れない。」
エルクが残した装置は静かに光を放ち続けた。それを見たレナは、今度は自分がこの光を広める役割を果たすべきだと感じた。星空は永遠に語りかけてくる。彼女もまた、その物語の一部になると誓ったのだった。
