星屑の航海日誌

SF

#ジャンル:SF
#トーン:宇宙
#登場人物:船長

銀河の果てに広がる未知の空間で、銀河系調査船「ノクターン」は航行を続けていた。船長アリーシャ・サンデルは、柔らかな眼差しで艦橋のスクリーンを見つめる。そこで映し出されていたのは、銀色に輝く奇妙な惑星だった。その名も「エコー」。調査船が惑星に近づくにつれ、静寂と共に何かが彼女たちを待っているような感覚が広がっていた。

「惑星の表面に異常なエネルギー反応を確認。大気も人間に適応可能です。」科学主任のライアンが報告する。アリーシャは決断を下し、着陸を命じた。

着陸後、乗組員たちが目にしたのは驚くべき光景だった。地表はまるで地球そのもののようで、そこに流れる川や揺れる木々の配置までもがアリーシャの記憶と一致していた。だが、それ以上に彼女を驚かせたのは、目の前で幼い自分と若い両親が過ごしている幻影だった。

「これは…過去?」彼女の呟きにライアンが答える。「おそらく、惑星のエネルギー場が私たちの記憶を読み取り、投影しているのです。」

調査を進める中、アリーシャは自分の知らなかった父の秘密を知ることになる。父が宇宙探査に熱中し家族を遠ざけた理由、それでも彼が彼女を宇宙に送り出した夢。惑星「エコー」の記憶は鮮明でありながら、どこか温かさを含んでいた。

しかし、帰還の期限は刻一刻と迫っていた。乗組員の一人が発見した古代の装置は、記憶を具現化するだけでなく、無限のエネルギーを生み出す可能性があった。だが、それを地球に持ち帰れば、科学的進歩と同時に争いを生む危険性も孕んでいた。

夜、星空の下、アリーシャは惑星を見上げながら独り言ちる。「この星の秘密を解き明かすべきなのか、それとも…」

帰還の直前、アリーシャは一つの選択をした。その詳細は航海日誌に記されていたが、彼女が選んだのは「未来のために今を残す」という道だった。

惑星「エコー」は再び静寂に包まれ、調査船「ノクターン」は新たな旅路へと向かった。