writer K

ミステリー

【短編小説】雨の廊下に消えた声

その日、瑞樹はサークルの帰り道、突然の夕立に見舞われた。傘は持っていなかった。黒い雲が空を覆い、雷鳴とともに、街は灰色のカーテンに包まれる。ずぶ濡れになりながら...
ドラマ

【短編小説】ミモザの手紙

老人ホーム「陽だまりの丘」で暮らす八重子は、静かな春の午後を過ごしていた。窓の外には、満開のミモザの木。風が吹くたび、小さな黄色の花がふわりと揺れ、日差しに染ま...
恋愛

【短編小説】放課後カーテンコール

「なんで、そんなに言い方キツいの?」凛の声が、少しだけ震えた。文化祭の演劇で主役に抜擢された文芸部の凛は、今日も演出担当の天野とぶつかっていた。「キツくなんて言...
ファンタジー

【短編小説】あじさいの眠る庭

雨が降ると、涼は決まってあの洋館の前に立つ。街のはずれにひっそり佇む古い建物。今はもう人が住んでおらず、雨の日にだけ庭の門が開いている。理由は誰も知らない。けれ...
日常

【短編小説】今日は晴れたから

朝、カーテンを開けた瞬間、光が差し込んできた。空は雲ひとつない青。空気はひんやりしているのに、どこかやわらかくて、美央は思わず小さく頷いた。——今日は、洗濯日和...
日常

【短編小説】駅弁メモリーズ

出張続きの生活にも、楽しみはある。直人にとってそれは、「駅弁」だった。新幹線の発車までの短い時間、売店やワゴンを巡って、その土地ならではの弁当を探す。豪華な海鮮...
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【短編小説】あの坂のむこうがわ

秋の風がやさしく吹く朝、さくら組の子どもたちは、お弁当をリュックに詰めて遠足に出かけた。「はーい、みんな列からはぐれないでねー!」先生の声に、元気な返事が返る。...
ファンタジー

【短編小説】栗の精、こっくりさん

秋の陽射しが斜めに降りそそぐ山道で、少女・結は夢中で栗を拾っていた。祖母の家の裏山。今年も栗の季節がやってきて、毎年恒例の“栗拾い遠足”がはじまる。栗の毬(いが...
日常

【短編小説】風を追い越す日

夜明け前、エンジンの低い唸りが静寂を破る。長距離トラックドライバーの修一は、今日もまたハンドルを握る。彼の仕事は、荷物とともに、日本各地を走ること。東北の雪道か...
ドラマ

【短編小説】深夜、牛丼と君と

終電を逃したのは、仕事の飲み会が長引いたからだった。外は雨。スマホの充電は切れ、タクシーは全車“配車中”。紗英は濡れたパンプスの中で足が冷えていくのを感じながら...