就寝前に

ファンタジー

【短編小説】栗の精、こっくりさん

秋の陽射しが斜めに降りそそぐ山道で、少女・結は夢中で栗を拾っていた。祖母の家の裏山。今年も栗の季節がやってきて、毎年恒例の“栗拾い遠足”がはじまる。栗の毬(いが...
日常

【短編小説】風を追い越す日

夜明け前、エンジンの低い唸りが静寂を破る。長距離トラックドライバーの修一は、今日もまたハンドルを握る。彼の仕事は、荷物とともに、日本各地を走ること。東北の雪道か...
ファンタジー

【短編小説】マンホールの王

下水道点検員の和馬は、古い街区の調査任務に就いていた。その日も彼は、指定された老朽化地域のマンホールを開け、重たい蓋を押しのけて地下に降りた。だが、奥へと進むう...
ドラマ

【短編小説】奇跡のあんパン

商店街の端にひっそり建つ「みずきベーカリー」は、昔ながらのパン屋だった。レンガの外壁、手描きの看板、ショーケースの中のパンも素朴な丸い形。だが、今では早朝にも関...
ファンタジー

【短編小説】星砂の子守歌

赤い火星の地下都市〈ヴェルディア〉では、大地の代わりに人工の光が天井を照らし、重力の制御装置が地上の代わりを果たしていた。地上に出られず育つ“地下世代”の子ども...
ドラマ

【短編小説】ラストノート

全国ピアノコンクールの決勝――広いステージを照らすスポットライトの中、音大生の真琴と遥は、それぞれの想いを胸に座っていた。演奏順は、親友の遥が先。そして最後に、...
ミステリー

【短編小説】閉店前のレコード屋

真夜中の帰り道、山沿いの薄暗い道を走る老夫婦・洋子と洋一は、ランプの灯りに誘われて一軒の小さなレコード屋に立ち寄った。看板には「閉店間近」の文字。誰もいないはず...
ファンタジー

【短編小説】こびとの庭

日曜日の午後、風がやさしく撫でる歩道の隅に、ひとつだけ見慣れない小さな花が咲いていた。透き通るような淡紫色と、まるで星の欠片を閉じ込めたような真ん中の光。その花...
ドラマ

【短編小説】ひまわりのポラロイド

大学生の紗季は、祖母の遺品整理をしていると、古ぼけた白い封筒に包まれた一枚のポラロイド写真を見つけた。ひまわり畑の中、背後に広がる夏の青空と、風に揺れる黄色い花...
ファンタジー

【短編小説】かき氷と風の精

夏休み、晴人は祖父の住む山間の村へやってきた。東京の暑さとは違い、朝の空気は涼しく、蝉の声が遠くの林間から淡く響いている。祖父の家の縁側には古いかき氷機が置かれ...