就寝前に

SF

【短編小説】砂と星のカンタービレ

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【短編小説】手を握る午後

介護施設「はるの家」で働き始めて、三ヶ月が経った。新人の葵にとって、それは嵐のような日々だった。早番、遅番、夜勤。食事の介助、排泄のケア、入浴の補助。初めてづく...
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【短編小説】鉄町ルネサンス

鋼川(はがねがわ)はかつて、鉄の匂いが風に乗って漂う町だった。山あいで採れる鉄鉱を精錬し、鍛冶を重ね、工場の煙突が空へと灰色の旗をひるがえしていた。だが今は、煙...
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【短編小説】うさぎの帰る丘

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日常

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