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日常

【短編小説】コンビニあと、図書館まえ

朝七時五十五分。駅から学校への道の途中にあるコンビニが、ユウとサキの集合場所だった。サキはホットミルクティー、ユウはメロンパンを買うのが定番で、それを持って、学...
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【短編小説】味の記憶

駅から少し外れた路地裏に、「紅龍園」という中華料理店がある。赤い提灯と色あせた暖簾が目印で、決して派手ではないが、昼時ともなれば常連客で賑わう。ここは、地元に根...
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朝の公園は、まだ眠りの名残を残したように静かだった。青年は黒い柴犬を連れて、ゆっくりと小道を歩く。舗道の脇に並ぶベンチの一つに、彼女はいつも座っていた。髪をまと...
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【短編小説】父の背中

リビングには静寂だけが満ちていた。テレビはついているが、誰も見ていない。父は黙って新聞を広げ、娘の美咲はスマホをいじりながら、心ここにあらず。母が亡くなって三年...
SF

【短編小説】レンタルヒーロー

「1時間5000円でヒーローになれます」 そんな怪しげな広告を見つけたのは、駅前の掲示板だった。「……なんだよ、これ」 大学を出たばかりで定職にもつかず、バイト...
日常

【短編小説】ペダルと日常のリズム

朝の空気は少し冷たく、心地よい。ペダルを踏むたびに、風が頬を撫でる。 優斗の朝は、決まって同じリズムで始まる。朝食を取り、カバンを肩にかけ、自転車に跨る。大学ま...
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【短編小説】波の向こうの約束

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【短編小説】病室206号の午後

骨折なんて、人生で初めてだった。 体育の授業中、バスケットボールの試合で派手に転び、左足を骨折。全治一ヶ月の診断を受けた慧(けい)は、仕方なく病院のベッドに横た...
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【短編小説】おかゆと魔法の一日

目を覚ますと、頭がぼんやりと重かった。喉は焼けるように痛み、身体中がだるい。最悪だ。 「あ……風邪、ひいた……」 かすれた声で呟きながら、布団の中で小さく丸くな...
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【短編小説】終点の約束

夜の帳が降りた高速道路を、バスが静かに進んでいた。車内は薄暗く、乗客のほとんどが眠りについている。時折、街灯の光が窓から差し込み、ぼんやりとした影を映し出す。 ...