昼休みに

ファンタジー

【短編小説】湖の底の図書館

ナナが祖母の住む村にやって来たのは、夏休みが始まったばかりの頃だった。両親の仕事の都合で毎年預けられるこの場所は、山と田んぼと静かな時間しかない退屈な田舎に思えていた。だが、今年は少し違っていた。
日常

【短編小説】カステラ、三時の奇跡

その日、美月はすっかり打ちのめされていた。中学校の中間試験、手応えは最悪。特に数学の答案用紙は、まるで知らない言語が並んでいるかのようだった。
SF

【短編小説】予言販売機

最初にその機械が見つかったのは、駅前の路地裏だった。赤く塗られた金属の箱。側面には白い文字でこう書かれていた。「予言販売機――100円で、あなたの24時間後を予言します」
SF

【短編小説】記憶奉納の社

それは、本来存在しないはずの座標だった。時空警備隊の隊員アキラは、時空の歪みを検知して山奥へ派遣されたはずだったが、目的地の森で突然センサーが狂い、視界が白く染まった。気づくと、彼は深い霧に包まれた山道を歩いていた。
SF

【短編小説】時間銀行

「あなたの寿命、買い取ります」その広告が街に溢れたのは、たった数年前のことだった。クロノバンク──“時間”を通貨として扱う新興企業は、医学と金融の境界を越えた。人間の寿命を数値化し、売買可能にする技術。それは、現代社会における格差を一気に拡張させる新しい通貨制度の幕開けだった。
ドラマ

【短編小説】無人島に灯る日

夕焼けが水平線を染めるころ、浜辺に立つリナは、穏やかな波の音に耳を澄ませていた。4日前の嵐で船が転覆し、偶然にも同じ救命ボートに乗り合わせた4人──リナ、航太、真理絵、そしてユウジ──は、この無人島に流れ着いた。
ミステリー

【短編小説】朝焼けのランナー

薄桃色の空が、静かに夜を追いやる頃。麻衣はその橋のたもとに立っていた。毎朝5時すぎ、大学近くの川沿いをジョギングするのが日課だった。決まって同じタイミングで、向...
ミステリー

【短編小説】交差点の証言者

午前二時過ぎ、霧の立ち込めた交差点。若手新聞記者の佐倉悠は、仕事帰りに偶然その現場に出くわした。パトカーの赤い光が揺れる中、アスファルトには血の跡。ひき逃げ事故...
ミステリー

【短編小説】消えたランタンの謎

標高千メートルを超える山の奥にあるキャンプ場。その夜、大学の友人五人組は、焚き火を囲みながらビールを片手に語り合っていた。日が落ち、辺りは深い闇に包まれている。...
SF

【短編小説】星に願うレジスタンス

銀河帝国の圧政は、惑星連合の希望を押し潰し続けていた。自由を求める者たちが声を上げれば、容赦ない弾圧が降りかかる。だが、その中でわずかな灯火を守り続ける者たちが...