不思議な話

SF

【短編小説】7秒後の未来

風が冷たくなり始めた秋の放課後、中学二年の颯太は、商店街の奥にひっそり佇む古道具屋で奇妙な腕時計を見つけた。金属の風合いが時代を感じさせるその時計は、どの針も7...
ファンタジー

【短編小説】葉陰のささやき

理央は、ただ静かな場所が欲しかった。都会の喧騒、上司の叱責、繰り返す残業。ふと目を閉じると、音が押し寄せてくる。電車のアナウンス、人の足音、スマホの通知音。どこ...
SF

【短編小説】地球保存装置

その計画は、極秘裏に進められていた。名を「自動惑星アーカイブ計画」。地球のあらゆるデータ——地質、気候、生態系、都市の構造、人間の記憶、言語、歴史、すべてをデジ...
ミステリー

【短編小説】空の目の沈黙

地球の夜空をめぐる無数の人工衛星。そのひとつ、観測衛星「アルテミス5号」は、地球規模の環境変動を監視する重要な“目”だった。だが、そのアルテミス5号が、突如とし...
ミステリー

【短編小説】砂に沈んだ町

砂漠の夜明けは、静寂の中に薄紅の光が差し込む。考古学者のリナは、ラクダの背で揺られながら、遠くに広がる影を見つめていた。砂の海に浮かぶそれは、どこにも記されてい...
ファンタジー

【短編小説】千年樹のささやき

村のはずれ、風に葉音を響かせる一本の巨木があった。樹齢千年と伝わるその木は、「千年樹」と呼ばれ、村人たちに大切にされていた。幹は太く、両腕を広げても抱えきれない...
ミステリー

【短編小説】砂に消えた足跡

朝の海は、まだ夢を見ているように静かだった。潮風に髪をなびかせながら、女子高生・璃子はいつもの海岸を歩いていた。祖母の家に一時的に預けられているこの夏、早朝の散歩が日課になっていた。
日常

【短編小説】お昼寝タイム、はじまりました。

午後二時になると、真理のアラームが鳴る。「そろそろ、横になろうかな」在宅勤務になって三か月。毎日続くオンライン会議と、終わらぬ業務の山。慣れないデスクワークに肩は凝り、目はしょぼしょぼ。そんな彼女のささやかな日課が、午後の三十分だけ取る“お昼寝タイム”だった。
ミステリー

【短編小説】駅と駅のあいだで

午前七時三十二分発の下り電車。会社員の綾子は、毎朝同じドアから乗り込み、同じつり革を握る。窓の外には変わらない街並み。スマホには通知の山。無意識にアプリを開き、既読スルーのメッセージを流し見る。ふと、アナウンスが流れた。
ミステリー

【短編小説】消えた登山道

夏の終わり、「黒雲山」で登山客の失踪が相次いでいると聞いた記者・志帆は、背筋を張りながら単独で山に入った。地元では「山に呼ばれた者は帰れない」とささやかれているが、それでも彼女の好奇心は止まらなかった。